住宅ローンに巨人襲来。
一昨日はカンカン照り、昨日は肌寒い雨、今日は真夏日、天気も住宅ローンもめまぐるしく変わるとついていけません。金融業界の巨人「ゆうちょ」がついに住宅ローンに進出すると、昨日のマスコミが一斉に報道しました。
ゆうちょ銀行はこれまで、スルガ銀行の住宅ローンを代理販売するという形で住宅ローンを扱っていましたが、自前のローンは販売していませんでした。しかし、今年4月の改正郵政民営化法成立を受けて10月1日からのスタートを目指しているとのこと。
検討されている融資商品の案は、民間金融機関を補完するとして年収400万円以下の人への融資を一つの基準とし、50年にわたる超長期ローンも請け負うとしています。住宅購入を促進できれば経済にも貢献できるという美辞麗句も並んでいます。
国民が預けている貯金のほとんどは、国債で運用されているそうです。ゆうちょ銀行とすれば、「運用先の拡大は喫緊の課題」とのことですが、リスクの高い貸出先を積極的に相手にして運用することを、ゆうちょ銀行に貯金を預けている人は望むのでしょうか?
ゆうちょ銀行の参入は、住まいをこれから購入する人にとっては悪い話ではないかもしれません。民間金融機関との競争が激しくなるので、さらに借り手にとっては有利な商品(住宅ローン)が開発されることを期待できます。ただし競争が激化しすぎて、住宅ローンから撤退する金融機関が増えると、借り手の選択肢が狭まるので、行きすぎないようにしていただきたいです。
かつて住宅ローンは“住宅金融公庫”が圧倒的なシェアをもっていました。それが構造改革により、2007年に住宅金融公庫が解体され、民間の金融機関が続々と住宅ローンに進出して現在に至るという歴史があります。その流れに逆行して、共倒れのような事態にならないことを願います。