検査できない「検査機関」
住宅を建築する際は、一部の場合を除き『建築確認申請』という書類を審査していただく必要が有ります。その申請の審査は、以前は全てを行政が行なっていたのですが、今では民営化されて民間会社が代行しています。この地方でも20社以上の民間会社が審査を行ないます(この審査会社はフラット35を理由する場合は建築途中の検査も行ないます。)通称「指定確認検査機関」とも呼ばれます。
本来ならば行政に代わって検査をするのですから建築会社、設計会社を厳しく指導して欲しいのですが、最近では建築会社・設計会社との癒着を疑わせる事件が起きています。
こういった問題が起きる原因は「お金」の流れにあるのは明らかです。民営化へ移行させた理由はいわゆる「官から民へ」の流れのなかで決まったことでしょうが、それが弊害となったのです。
「指定確認検査機関」は建築会社や設計会社からお金をもらって審査をします(ただし、実際にはそのお金は建築主が出しています。)、指定確認検査機関も民間会社ですからたくさん仕事をもらわなければいけません、つまり厳しく対応しなければいけない相手からお金をもらうのです、これで本当に手心を加えないで仕事を全うすることができるでしょうか?
施主の立場からみると、正しい建築がなされる「頼みの綱」のはずなのですが、何とも頼りない状態です。最近の事例では建物が道路にはみ出しているのを見抜けなかったという信じられないミスを犯すこともあります。
今では忘れ去られた感がある「耐震偽装事件」も民営化後におきた事件です、はたして民営化して「得」をしたのはだれでしょう?検査機関が国土交通省の天下り先になっていないとは誰も思っていないでしょう。
では、建築主はどうやって自分を守ればよいのでしょうか?まずは注文を出す建築会社に対して、その建築会社では通常はどの検査機関を使っているか?なぜその検査機関なのか?その検査機関は過去問題をおこしていないか?検査機関を変えることはできるのか?などの質問をするなど、建築主としての当然の要求をしてみるべきです。少なくとも検査機関とは何であるかの説明はきちんとしてもらう必要はあります、業者間の慣れ合いで決められてしまっている事であれば、建築主は付き合う必要はありません。