面倒を楽しむ。
あのヤマダ電機が住宅設備機器の製造、販売を行うハウステックホールディングスを買収、完全子会社化すると発表しました。システムバスルームやキッチンなどを主力とする同社を取り込むことで、住宅事業を強化する模様。ヤマダ電機は昨年10月には住宅メーカーのエス・バイ・エルを傘下に加えています。
「ハウステック」はもともと日立グループの日立化成の一員でしたが、業界再編の紆余曲折を経て投資ファンド会社から今回のヤマダ電機傘下入りのようです。あまりなじみの無い名前かもしれませんが、バスルーム・システムキッチン・エコキュートなどの住宅関連設備では大手の一翼です、その会社をヤマダ電機が手に入れたということは、これから本腰を入れて住宅販売を行なうようです。
これまでは住宅会社を探すときは知り合いから紹介してもらうか、住宅展示場でハウスメーカーや工務店を見つけるのがセオリーでしたが、これからは電気屋さんで住宅を買う時代が来たということです。
同業他社がどのような反応をするのかにも興味がありますが、今後は思わぬ企業が“住まい”産業に参入してくるのでしょうか?
ワンストップで全てを済ますことができるのは消費者にとって便利なことではあります、しかし反面としてはひとつの企業ですべての材料や住宅設備をそろえることはできないので選択肢を自ら狭めてしまうことにもなります。住宅産業は裾野が広く、使用する材料や用いたデザインなどによりコストが決まります。なにより、何度も買うことのできない買い物ですから少しでも個性を出したいと思う人は多いでしょう。
便利さを優先するのか、面倒でも時間をかけて苦労してでも住まい作りの“産みの苦しみ”を楽しむのか、どちらを選択するかは消費者の自由です。
あらためて考えてみると“注文住宅”は非効率このうえない仕組みです。料理で例えるのならば、
1.どんな料理を食べることができるのか財布と相談。
2.腕比べをしながら日本中の料理店からシェフを選択。
3.シェフに相談したり、自分で勉強して世界中から食材を吟味・調達。
4.お客の無理な注文をシェフが工夫をして調理。
5.最高のタイミングで家族といっしょに時間をかけて食事。
裏返して考えると面倒なことばかりです、ファミレスに行ってメニューから選べばこんな面倒はありません、それはそれで美味なのでしょうが「fun」が足りないような気がします。
高額な買い物だからこそ“面倒なのは当たり前”と考えることができれば楽しむことができるでしょう。