シックハウスとアレルギー
私がこの業界に入ったころはシックハウスという言葉さえあ
りませんでした、それどころか、新築のお家に入った時に
は目と鼻を刺激する独特の臭いに、
「新築の香りがしますねぇ~」
なんて言ってお客様とよろこんでいました、でも本心はもと
もと鼻の弱い私ですので、他のお家もすべてそうだけど、
何かおかしいんじゃないのかなと漠然と思っていたもので
す、しばらくして新築の家で病気になる、それも深刻な症
状で場合によっては死に至るなんて報道がされるようにな
り、アチコチで裁判が始まり、病気の原因はやはり新築の
家に使われる接着剤や保存料にあることが科学的に証
明され、行政と業界が大慌てで対策を施し、最近では住
宅の作りが原因のシックハウスはほとんど聞かれなくなり
ました。
にもかかわらず、アレルギー体質のお子さんは増える
一方です、アレルギー体質には様々な理由があるでしょう
が、住宅が理由でアレルギー体質になってしまう方も相当
いらっしゃるようです、でもその場合は住宅その物に原因
物質があるのではなく、建物に合わせた住まい方が原因
のようです。
最近の住宅は高気密化が進み機械による強制換気を
行わないと自力ではほとんど換気を行わない住宅ができ
ています(昭和50年代頃までに建築された家は自然に1
時間あたり2回は室内の空気が入れ替えられていたそう
です)エネルギー効率を考えるとそれが良いのでしょうが、
その換気を全く行わない環境はダニ類にとってはこのうえ
なく快適な環境でもあるそうです、皮肉なことに人間にとっ
て良かれと思ってやっていることが、アレルギーの原因の
王様にも天国を作り出しているのです。
もちろんそういった住宅でも正しい住まい方と対処をすれ
ば問題はないのでしょうがあまりそういったことは啓蒙さ
れていないと思いますし、私の身のまわりの方でも義務化
された24時間換気システムのスイッチを電気代がモッタイ
ナイと言って切ってしまっている人が大勢いらっしゃいます。
知人の夫婦で新築アパートに住んでいらっしゃったので
すが、お子さんのアトピーがひどくて改善しないのであえて
古い借家に引っ越したところ、劇的に良くなったそうです、
その方の場合は偶然かもしれませんが、原因が住まいに
あったとすると、最新の住宅であっても使い方を間違える
と大変なことになってしまいますね、今はその方は
“体にやさしい隙間風の通る中古住宅”
を物色中です。