“匂い”が重要です。
関東地方で、ホルムアルデヒドにより飲用水が汚染されて断水した、と先日まで報道されていました。その後の顛末は良く知りませんが、不謹慎なことにホルムアルデヒドの名前を聞いて私の最初の感想は『懐かしいなぁ~。』でした。
ホルムアルデヒドと言えば、10年ほど前にシックハウスの原因の代表者として全国民からの嫌われ者でした。その後、他の原因物質も含めて総称して『VOC』と呼ばれるようになりました。
VOCは英語のVolatile
Organic Compounds(誰か発音を教えてください。)の頭文字を並べたもので、代表的なVOCとしては、ホルムアルデヒド、クロルピリホス、トルエン、キシレン、ベンゼン、スチレンなどがあるそうです。
当時これらのVOCは、建材や家具の塗料・接着剤・樹脂として、また防虫剤・防蟻剤としても広く利用されていました。要は住宅建築には無くては成らないものだったのです。
ところがVOCは空気中の濃度が一定以上になるとごく微量であっても臭気、目・鼻・喉への刺激、めまい、頭痛などを引き起こし、化学物質過敏症の原因になり、発ガン性を持つとされるシックハウス症候群の主要な原因物質であることが当時明らかになりました。
私が住宅建築の業界に入った頃ほとんど全ての新築の家で、完成時は目の痛みやツンとした鼻への刺激がありました。何も知らなかった私たちは『新築の匂いがしますね~』とお客様と一緒になってはしゃいでいたものです。
今にしてみると恐ろしい事だったのですが、当時嗅いだその匂いは家具屋やホームセンターなどでも当たり前のように嗅いでいたので、何の不安もありませんでしたしかえって新しいものの証のように扱われていたのを記憶しています。
現在ではVOCは建物では使用されていないので、ほとんど心配する必要は無いでしょう。ただし、築年数が10数年の中古住宅・中古マンションでは現在でも作り付けの下駄箱やクローゼットを開けたりすると未だになんとなく匂いがする場合があります、あまり強いようだと調査の必要があるかもしれません。
また、VOCは土壌汚染をしていたこともありました、現在の岡崎市には“土壌汚染対策法”で指定された土地は無いようですが、購入する土地が以前工場だったりする場合は売主に確認する必要が有りますので注意してください。
物件を見に行くときは“匂い”にも注意してください。また嗅覚は個人差が激しいので、喋れる犬を連れて行くか、複数人で確認することをお薦めします。