転ばぬ先の杖
福島の原発の格納容器の水深が今までの予想を遥かに下回り、わずか60㎝しかないと報道がありました。あまり不安を煽るようなことは言いたくはないのですが、これでは容器を水で満たすどころか、「浴槽程度の水たまり」に福島と日本の命運を預けているようなものです。これも「想定外」のひとことで片づけられてしまうのでしょうか?
住まいづくりでも想定外の「こんなはずじゃなかった」はいろいろな場面で起こりえます、理由は様々ですが、小さな事から大きな事までいろいろなことが続きます。
「こんなはずじゃなかった」で一番の困りごとはお金の問題です、予定外の費用はどんな事にも付き物ですが、住まい探しでの予定外の費用は、金額が大きくなることがあるので不注意で増えてしまいましたでは済まないことが多いです。
ありがちなのは建築工事途中での追加工事です。打ち合わせの不備であったり、建築主の心変わりだったりで、仕様やデザインを工事途中で変更すると、思わぬ費用を追加することになりかねません。
こういった事態を防ぐには建築工事に取り掛かる前に、入念且つ詳細な事前打ち合わせが必要ですが、打ち合わせの進め方や、その際にかわされる書類等にはこれといったルールはなく、建築会社の自主ルールに委ねられているのが実状です。
いわゆる「言った」VS「言わない」のトラブルを防ぐためにはできるだけ書類に残す事に勝る方法は無いのですが、建築主としてはそれを建築会社だけにまかせるのではなく、自分でも書面にして記録しておくなどの自主防衛をしておく必要はあります。
最近では気の利いた建築業者は、毎回の打ち合わせの終了時に記録簿を作り、そのメモに、建築主と打ち合わせ担当者の双方がサインをし、複写を建築主も保管するような仕組みをとっている会社もあります。
全てを信頼し、建築業者におまかせをするという方法も悪くはないのかもしれませんが、そうするためにはどんなトラブルも許容するぐらいの懐の大きさをもたないといけませんし、予算的にも余裕を持たないといけませんから現実的ではないですね。「転ばぬ先の杖」は記録と余裕です。